第87話 「世界自然遺産・白神山地 」
前回86話で、屋久島に数千年にわたってヤクスギが生き続けている要因の一つに、冷温帯地では優先種となるブナが、屋久島まで南下しなかったことをあげました。
ブナの原生林は、国内で少なくなったとは言え、まだ中国山地のあちこちで見ることができます。が、ブナといえばやはり「世界自然遺産・白神山地」です。この度、その本場のブナ原生林を探勝してきました。
白神山地は、かってはマタギたちが活躍した山です。1980年頃は、森林開発のための大規模林道建設が耳目を集めました。またその奥山の幽玄さから、映画「もののけ姫」の舞台ともなりました。そして1993年、手付かずのブナ原生林 約17,000haが日本最初の世界自然遺産に登録されました。

写真1 遊歩道案内板
遺産登録地域の「核心地域」への入山は、自然保護の観点から原則禁止ですが、「緩衝地帯」やその周辺地域には、参加者の目的や体力に合わせた観察コースや学習コースが整備されています(写真1)。どのコースでも自然解説のガイドさんをお願いできるようです。
今回は、最も手軽で、ポピュラーな「暗門ブナ林散策道」コースを探勝しました。
まずは、白神山地の観光・自然保護活動の拠点アクアセンターで入山手続きです(もちろんガイドさんもお願いしました)。少し歩くと、散策道入口です。
ここには自然保護の協力金受付(任意ですが1人おおむね300円位です。写真2)とブナ林が育くんだ湧水場(写真3)があります。

写真2 自然保護協力証(表)

協力証(裏)ブナの押し葉

写真3 ブナ林の湧水場

写真4 ブナ林の陽光
いよいよブナ原生林です。ブナの木々間から漏れてくる柔らかい陽光(写真4)とフィトンチット香る風。地表面と歩道は落葉と腐葉土でふかふか(写真5)。川水は清く、川底がすっきりと見えます(写真6)。

写真5 ふかふかの歩道

写真6 ブナ林の谷川

写真7 朽ちていくブナの倒木
ブナの寿命は2~300年、倒木と世代交代の様子もよく分かります(写真7)。インタープリターとしてのガイドさん。そして、分かり易い案内板とよく考えられた周回道(写真8)。
中国山地の比婆山や大山にも素晴らしいブナ原生林がありますが、散策道は多くは一本道で通り抜けるか、往復するかです。

写真8 周回道の案内板
しかし、ここ白神山地の「暗門ブナ散策道」は周回していて、原生林全体を四方から時々眺め、俯瞰することができます。このコースは「登録地域」の際(端部)にあることもあって、樹齢何百年という鬱蒼たる巨木は見当たりませんが、周回することで「もののけ姫」が守っていたブナ林の幽玄さを想像することができました。
予定の散策時間2時間があっと過ぎました。
ところで、1万年以上前は、白神山地はナラの森だったそうです。約8千年前、気候変動で雪が多くなり、ナラがブナに置き換わりました。ブナは、年平均気温が6~13度の冷温帯で生育します。地球温暖化は脅威です。地球温暖化を防ぐことは、白神のブナを守ることに繋がります。
