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第97話「気象予測と46年ぶりの皆既日食」

今年の梅雨もまた異常でした。これも地球温暖化の影響でしょうか。

中国地方は、6月9日に梅雨に入り、明けたのは平年より2週間余り遅く、記録上最も遅い8月4日でした。7月の雨量は平年の2倍以上、日照時間は平年の約5割です。
  梅雨期の前半は晴天が続いて、貯水池が底を尽きはじめました。そして関東地方や南九州では7月14日に早々と梅雨明け宣言となりました。

一方中国地方では、渇水対策について協議会が開かれようとしたタイミングに合わせたかのように、にわか雨や大雨のくり返しとなりました。

写真1 中国新聞の7月27日の記事
写真1 中国新聞の7月27日の記事

とくに7月21日前後の数日間は、「平成21年 7・21中国北部九州豪雨」と名付けられた大雨に見舞われ、甚大な被害がでました(写真1)。このとき、筆者は山陽新幹線に朝から乗車中でしたが、列車は予測を上回る大雨の中心域 新山口・防府で立ち往生し(写真2)、終日缶詰めとなりました。そして、その大雨と洪水と冠水を目の当たりにしました。

気象庁は、この大雨の原因として
  • 暖かく湿った空気が流れ込む湿舌
  • テーパリングクラウド
  • 弱い太平洋高気圧と梅雨前線の停滞
を挙げています(写真3)。

写真2 停まったままの新幹線の車輪
写真2 停まったままの新幹線の車輪

「2. テーパリングクラウド(にんじん雲)」とは聞きなれない用語ですが、積乱雲(写真4)が連続して発生する現象で、いわばにわか雨や夕立が切れ目無く襲ってくる現象といえます。
 1回の夕立が雨量20㎜とすると、積乱雲が10回発生すれば200mmとなります。

写真3 大雨のメカニズム
写真3 大雨のメカニズム
写真4 真夏の積乱雲
写真4 真夏の積乱雲

実はこの時、筆者は日本では46年ぶりの皆既日食を梅雨が明けた上海で観察するために福岡空港へ移動中でしたが、フライトに間に合わず、急遽予定を変更して、最大食96%の鹿児島市内へ向かいました。そして、予測どおり7月22日10時46分、雲間に最大食を運良く見ることができました(写真5、6、7)。

写真5 雲間に見えた部分日食
写真5 雲間に見えた部分日食
写真6 三日月状の木漏れ日
写真6 三日月状の木漏れ日
写真7 日食を観察する鹿児島城山の観光客
写真7 日食を観察する鹿児島城山の観光客

前日は晴れていた鹿児島地方は当日早朝から天候に恵まれず、地域により明暗を分けたようです。皆既日食観測地「種子島」は晴れ、国内で最も人気を呼んだ「悪石島」は厚い雷雲に覆われました。また、行けなかった上海は曇りだったとのこと(写真8)。

この度は、その難易度の程度に違いがあれ、複雑な気象予測の難しさと、力学モデルを駆使した天文学の予測の正確さをまさに実感しました。
  著名な物理科学者で文筆家の寺田虎彦氏か中谷宇吉郎氏かが、その随筆に「月にロケットを打込めても、ビルの屋上から撒いた便箋の行く先を予測することは至難である」と述べていることを改めて思い起こしました。

写真8 このように見えるはずだった皆既日食の軌跡
写真8 このように見えるはずだった皆既日食の軌跡
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