第99話「絶滅危惧種・外来種そして生物の多様性」
草原は山農村の原風景のひとつです。秋の七草を秋吉台へ訪ねました。
万葉の歌人、山上憶良は「萩の花 尾花葛花なでしこの花 おみなえしまた藤袴 朝顔の花」を、秋の七草と詠んでいます。

写真1 萩の花
まずハギ、日当たりの良い道路端でたくさん見ることができます(写真1)。ここには18種類のハギが知られていて、マルバハギとツクシハギが目立ちます。
そして、秋吉台草原の植生は「ネザサーススキ群落」とされ、尾花ことススキが全面に広がっています。カルスト地形の石灰岩とすばらしい調和をみせてくれます(写真2)。

写真2 秋吉台とすすき

写真3 繁茂する葛の花
草原のブッシュにはクズが絡まっています(写真3)。生活や食用に大変有用な植物だった葛も、その繁殖力ゆえに、今では里山や休耕田の厄介者にされています。

写真4 数少ない河原撫子
しかし、今日ではどの七草の花もが咲き乱れているわけではありません。カワラナデシコや可憐な黄花のオミナエシは少なくなりました(写真4、5)。
絶滅危惧種のフジバカマはまったく目にすることができません。朝顔とされるキキョウの群落も限られています(写真6)
七草ではありませんが、キキョウとおなじ紫花をつけるセンブリなどの、リンドウ科の植物や、高貴な色として知られるムラサキなどが絶滅危惧種に指定されています。

写真5 女郎花(おみなえし)

写真6 薬効もある桔梗

写真7 道沿いの隙間にはびこるメリケンカルカヤ
一方で、これらの固有植物の減少・絶滅の対極に外来種の侵入があります。
秋吉台でも道路沿いに、セイタカアワダチソウ、メリケンカルカヤ(写真7)やセイヨウタンポポなどが目立ちます。
日本では、「固有生物絶滅」と「生物の多様性」の危機にいま直面しています。
その要因は、(1)人間の開発活動による生態系の破壊、里山などの自然環境の放置 そして (2)外来生物の侵入 などが挙げられています。
特に (2)外来生物の侵入 については生態系への影響が直接的であり、2005年「外来生物法」が施行されました。そして、「特定外来生物」が指定され、その防除が進められています。
「特定外来生物」には、道路の法面を黄色く飾るオオキンケイギクや、川面を覆い尽すオオフサモ(写真8)など12種の植物が指定されています。

写真8 宮島の自然池にも侵入したオオフサモ(標本)
また、この外に生態系に悪影響を及ぼすおそれがある「要注意外来生物」として数十種の植物が指定されています。この中には、上述のセイタカアワダチソウ(写真9)、メリケンカルカヤ(写真7、9)やセイヨウタンポポも含まれています。身近なタンポポモドキ(ブタナ)、キショウブ、タカサゴユリもそうです。

写真9 裸地では昔の月見草(待宵草)に取って代ったセイタカアワダチソウとメリケンカルカヤ
